澤村徹のカメラガジェット放浪記 ---K&F CONCEPT KF-42E20
写真・文=澤村 徹
レンズより アダプターが 高かった(詠み人知らず)。この“オールドレンズあるある”に、どれだけの人が砂をかむような思いをしたことだろう。国産レンズやロシアレンズで安価にオールドレンズを楽しんでいると、レンズよりマウントアダプターの方が高いという逆転現象に遭遇しがちだ。最近は格安マウントアダプターが色々と出回っているが、品質面で不安をおぼえることも少なくない。おこづかいでオールドレンズを楽しむというのも、なかなかどうして難しいものだ。
そこで今回は、K&F Conceptのマウントアダプターを紹介したい。手頃の価格のわりに品質が良いと、昨今人気急騰中のマウントアダプターだ。CP+2017で大きなブースをかまえていたので、そこで名前を知った人もいるだろう。
K&F Conceptのマウントアダプターは、ひとつ2,000~3,000円だ。いわゆる低価格帯の製品である。ただし、着脱のフィーリング、耐久性、無限遠の出方など、性能面でワンランク上の製品と肩を並べる。言わば、安くて良い製品というわけだ。焦点工房が同社の正規代理店となり、今後はサポートや円滑な流通にも期待できる。
製品ラインアップも実に豊富だ。ボディ側はソニーEを筆頭に、マイクロフォーサーズ、富士フイルムX、キヤノンEF-M、ライカMなど、大半の現行ボディに対応する。レンズ側はM42、ヤシコン、ライカR、ペンタックスKなど、こちらも主要マウントを網羅している。
そうした中から、今回はM42マウントレンズをソニーEマウントボディに付けるKF-42E2をピックアップした。型番の末尾に「2」が付く製品は、真鍮パーツを用いた高品位バージョンだ。ボディ側とレンズ側に真鍮製マウントパーツを採用し、耐久性を高めている。また、側面にはネジがあり、レンズ指標の位置も調整可能だ。安価な製品ではあるが、マウントアダプターたるものをよく研究した手堅い製品である。
レンズはロシア製のMC Volna-9 50mmF2.8を選んでみた。最短24センチまで寄れるハーフマクロレンズで、F5.6以降で絞りの形状がダビデの星になる。ダビデの星はIndustar-61L/Z-MC 50mmF2.8の十八番だが、MC Volna-9 50mmF2.8でも同様の撮影が可能だ。
開放近辺はボケがきれいなので、マクロレンズとして実用性が高い。1万円強と手頃な価格のオールドレンズなので、マウントアダプターの価格も抑えたいところ。こういうレンズとの組み合わせこそ、リーズナブルなK&F Concept製マウントアダプターの出番というわけだ。マウントアダプターの新たな選択肢として、K&F Conceptの名をおぼえておこう。
製品ラインアップは国内外の主要マウントを網羅する。絞り制御タイプや三脚座付きもある。
KF-42E2はマウント面に真鍮パーツを使っている。コストパフォーマンスの良い製品だ。
側面に3カ所ネジがある。緩めるには六角レンチが必要だ。1.27ミリの六角レンチで緩めることができた。
F5.6以降で絞りがダビデの星形になる。写真はF5.6とF8の中間ぐらいの状態だ。
α7II + MC Volna-9 50mmF2.8 + KF-42E2 絞り優先AE F5.6 1/200秒 +0.7EV ISO100 AWB RAW 右奥を見ると、玉ボケがすべてダビデの星になっている。これが本レンズの得意技だ。
α7II + MC Volna-9 50mmF2.8 + KF-42E2 絞り優先AE F5.6 1/125秒 +0.7EV ISO100 AWB RAW 点光源の光が強いほど、ダビデの星の輪郭がくっきりとする。
逆にアウトフォーカスに点光源がないと、ダビデの星はあまり目立たない。